ンネル
冬ぐもりの波にたゞようて何の船
ここにも住む人々があつて墓場
・家があれば田があれば子供や犬や
・雪もよひ雪にならない工場地帯のけむり
ひさしぶり話せば、ぬくい雨となつた(白船老に)
あれもこれもおもひでの雨がふりかゝるバスで通る
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二月十一日[#「二月十一日」に二重傍線] 晴、紀元節、建国祭。
こゝろよい睡眠から覚めて、おいしい朝飯を食べて、戻つてきて、昨夜の跡片付をする。
午後、樹明君と磯部君とを招いて残肴残酒でうかれる、うかれすぎてあぶなかつたが、やつと散歩だけですました、めでたし/\。
月もおぼろの、何となく春めいた。
二月十二日[#「二月十二日」に二重傍線] 曇。
門外不出、独臥読書。
二月十三日[#「二月十三日」に二重傍線]
おなじく、おなじく。
二月十四日[#「二月十四日」に二重傍線] 曇。
今日も門外不出、終日読書。
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・花ぐもりの、ぬけさうな歯のぬけないなやみ
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二月十五日[#「二月十五日」に二重傍線] 曇、ばら/\雨。
身辺整理。
四日ぶりに街へ出かけ
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