庵、アイスキヤンデーをかぢりながら暫時雑談、今日は私の雑草哲学[#「雑草哲学」に傍点]を説く元気もなかつた。
[#ここから1字下げ、折り返して2字下げ]
   ぐうたら手記
□句作――自己脱却(自己超越)――一句は一皮。
 その一句は古い一皮を脱いだのである。
 一句は一句の身心脱落である[#「一句は一句の身心脱落である」に傍点]。
 昨日の揚棄、今日の誕生。
□自己虐待[#「自己虐待」に傍点]、マゾヒズム。
 近代人の不安焦燥動揺彷徨、虚無。
□俳句する――生活する――人生する。
[#ここで字下げ終わり]

 八月五日[#「八月五日」に二重傍線] 晴れてゐたか、曇つてゐたか。

かねて東京の斎藤さんから通知のあつた多根順子女史来庵、しばらく話した、お茶もあげないでお土産をいたゞいてすまなかつた、句集を買うて下さつたのは有難かつた、其中庵名物の雑草風景[#「雑草風景」に傍点]は観て下さつた、女史に敬意を表する。
どうもむしやくしや[#「むしやくしや」に傍点]していけない、夏羽織を質入して飲んだが、まだ足りないので、さらに飲みなほした、Yさんに立替へて貰つて、どろ/\の身心をやつと庵まで
前へ 次へ
全186ページ中111ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
種田 山頭火 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング