私を苦しめる、苦しむだけで、どうにもならない私ではあるけれど。――
あまりお天気がよいので、小遣も少々あるので、買物がてらふさぎの虫[#「ふさぎの虫」に傍点]を湯田の温泉に洗ひ流すつもりで出かける、ぽか/\とぬくすぎる小春日和である。
山がうつくしい、なだらかに波うつて雑木が紅葉してゐる、山口へ近づくにしたがつて、山なみに含蓄[#「含蓄」に傍点]がある、糸米あたりの山は殊によろしい、路傍の石に腰かけて飽かず眺め入つた。
買物いろ/\、小鍋、削節、なでしこ(これはやうやくその大袋を八木デパートで見つけた)、そして古本。
温泉はほんとによい、湯上りのよい気持で、例の安い安い定食で二本飲んで、七時の汽車で帰庵、めでたしめでたしであつた。
△いつ死んでもよいやうに身心をかたづけておけ[#「いつ死んでもよいやうに身心をかたづけておけ」に傍点]。
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・あたたかく折れるほど枝の柿が赤い
・山に山がもみづるところ放たれた馬
・ちよいと茶店があつて空瓶に※[#「插」でつくりの縦棒が下に突き抜けている、第4水準2−13−28]した菊
・もどつてうち[#「うち」に傍点]がよろしい月がの
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