れでもやつぱり待つてゐたので、失望した、そして淋しかつた、といつても仕方はないが。
東北地方凶作の惨状は人から聞いたり新聞で読んで察してはゐたけれど、今朝、新潟の金井さんからの手紙で、直接知らされて、その窮境はまことにいたましいと思つた、そして自分を省みて、勿体ないと感じないではゐられなかつた、私は私としてあまり幸福である、私は幸福すぎるではないか。……
[#ここから2字下げ]
・うらゝかにしてすがれた花にとまるてふちよも
母子《オヤコ》で藷掘る暮れ早い百舌鳥の啼く
・うらゝかなれば一羽鴉のきてなけば
日あたり水仙もう芽ぶいたか
・ことしもこゝに落葉しておなじ蓑虫
白船君に
あなたを待つてゐる火のよう燃える
[#ここで字下げ終わり]
十一月廿四日[#「十一月廿四日」に二重傍線] けふもうらゝかな日。
朝から裏山でポン々々鉄砲を打つ音がする、せつかく小鳥は楽しく啼きかはして遊んでゐるのに。
うれしいたよりいろ/\、ことにK子さんのそれはうれしかつた、ありがたかつた、もつたいなかつた。
――かうしてゐて、こんなにされてゐて、よいものだらうか――この疑問が事にふれ折にふれて
前へ
次へ
全114ページ中69ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
種田 山頭火 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング