で朝からけぶらしてゐる、冬
・もう冬空の、忘れられてあるざくろの実
・糸瓜からから冬がきた
・おちついてゐる月夜雨降る
・月の落ちた山から鳴きだしたもの
[#ここで字下げ終わり]

 十一月十八日[#「十一月十八日」に二重傍線] 雨はれて曇、ぬくい日だ、また雨。

時計を質入れして食料品を買ふ、これで当分は餓えないですむ、ありがたい。
菜葉に麦飯、それで十分、それが私には最もふさわしいし、また最もうまいと思ふ。
午後、樹明来庵、玄米茶をのんで話す外なかつたけれど、明るい顔を見てうれしかつた、知足安分、この平凡事を君にすゝめる、すゝめなければならない。
△飲みたい酒を飲まないのではない(さういふ事は私には出来さうもない)、飲みたくないから飲まないのである(私はこれまで、いかにしば/\飲みたくない酒を飲んだか、飲まねばならなかつたか!)。まことにこれは自然的断酒[#「自然的断酒」に傍点]である。
△雑木雑草の秋色のよろしさ。
△枯れゆく草にふりそゝぐ雨の姿、声。
楢の葉がいつとなく黄ばんで、さら/\と鳴る。
小鳥が山から里ちかく出てきて囀づる。
△秋から冬へ――晩秋初冬は私の最も好きな季節
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