しぶりな会飲だつた、酒はキレイ、肴はハム、客は樹明、だから酔うてぶらつくこと例の如し。
やつと帰庵、彼氏も泊る、とんだ宿直[#「宿直」に傍点]なり。
○酔うていよ/\老衰を感ず。
[#ここから2字下げ]
・雑草も声ありてしぐれ
・病めば梅干のあかさ
・誰にもあはないとうがらし赤うなる
・かうまでからだがおとろへた草のたけ
・すつかり葉をおとしてしまつた柿の木へ旅から戻つた
・ほつと入日のさすところ草の実
・やうやくおちつけて茶の花や
[#ここで字下げ終わり]

 十一月十日[#「十一月十日」に二重傍線]

晴、二日酔の気味、恥づべし。
小鳥の来ては啼く日なり。
○余生を楽しむ――私の場合では私に徹することだ。
○与へる何物も持たない私はせめて何物をも奪はない生活を持しなければならない、他を妨げ物を害する行動を捨てなければならない。
昨日の酔中散歩は醜くかつたが、いや悪かつたが、それによつて積日の沈欝が払ひ除かれたのはよかつた。
「雑草」所載の「正信偈一巻」を読んで白船老におそひかゝつた不幸を悲しむ、希くはこの不幸が最初の、そして最後のものであれ。
勉強、勉強、勉強しよう、私はあんまりな
前へ 次へ
全114ページ中46ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
種田 山頭火 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング