当に聞いてくれる友の一人として、私は君を信頼してゐる。
○明日の句[#「明日の句」に傍点]はもう私には作れないけれど、私にも今日の句[#「今日の句」に傍点]はまだ作れる自信がある(芭蕉や蕪村や一茶の作はすでに昨日の句[#「昨日の句」に傍点]であることに間違はない)、よし、私はほんたうの私の句[#「ほんたうの私の句」に傍点]を作らう、作らなければならない、それが私のほんたうの人生だから。
米買ひに行つて、そこの主人に話しかけられた、宗教についてしばらく話した、彼もまた悩める一人だつた。
寒い、寒い、冬ごもりの用意は出来ますか。
○雑草の声[#「雑草の声」に傍点]を聴く、雑草的存在、雑草的生活。
○酔ひたい酒[#「酔ひたい酒」に傍点]から味ふ酒[#「味ふ酒」に傍点]へ。
○播かないで刈る[#「播かないで刈る」に傍点]、――私の生活はさうでないといひきれるか。
夕方から山口へ行く、三八九[#「三八九」に傍点]を復活続刊する外なくなつたから鉄筆を買ふために、――そして鈴木さんを訪ねる、おいしい御酒と御飯とをいたゞいてたのしく話す(私の現実に触れすぎたが)、九時の汽車で戻つておとなしく寝た。

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