る。
すすき尾花がうつくしい。
午後、樹明君がまたやつてきて、飯をたべて、ぐう/\と寝て、さびしさうに帰つていつた。
文字通りに、三日間の門外不出だ、ちよつとポストまで出かけたいのだが、風がふくのでやめる。
寝たり起きたり、読んだり考へたり。――
[#ここから2字下げ]
・生きものみんな日向へ出てゐて秋風
・寝床へ日がさす柿の葉や萱の穂や
・何か足らないものがある落葉する
・やつと郵便がきてそれから熟柿がおちるだけ
[#ここで字下げ終わり]
十月八日[#「十月八日」に二重傍線]
晴、風。
朝、Oさんから採つたばかりの松茸を貰ふ。
四日ぶりに街のポストへ、そして三日ぶりにコツプ酒一杯、そして心臓がいかに弱くなつてゐるかが解る。
石蕗がもう咲いてゐたので床の壺に活ける。
○雑草はみなよろしい、好きである。
凡山凡水、凡人凡境、それでけつかうです。
松茸一本焼いて麦飯三杯、おいしい昼餉だつた。
例の洋服を質入して、マイナスを払ひ、酒を借る。
入浴、何日ぶりか忘れたほど久しぶりだつた。
樹明君を招待する、いそがしい会合だつたが愉快だつた。
よいさけ、よいちり、よいよいよいとなあ。
それか
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