で待つてゐる、是非おいでなさい、――そこでさつそく出かける、上郷駅まで歩いて、九時半の汽車で湯田へ。
千人風呂にはいつて髭を剃る、浴後一杯ひつかけることは忘れない、濡れて歩いて山口へ、予定通りに両人会合、二十銭の定食[#「二十銭の定食」に傍点]で腹をこしらへて、鈴木さん訪問、いつものやうに御馳走になる、冷し素麺がおいしかつた、それから、街をぶらついてゐると、幸か不幸か、伊東俊さんに邂逅、食堂から食堂へとうろついた、そしてさらに湯田で飲む、私たち二人は西村さんを尋ねあて、湯に入れて貰ひ、ビールを戴いた、むろん短冊や色紙は樹明君に煽動されて書きなぐつた、それからまた、祇園祭の人込を縫ひ歩き、最終のバスで帰庵、満月のうつくしさを賞する余裕もなく、ぐつすりと寝た、よくもあれだけ飲んだり食べたりしたものだ、そして無事におとなしく戻つてきたものだ、そのいづれも感心されてよい!
今日の印象、――今日の感想――
何となく心楽しい日(時々かういふ日がある、日々好日ではあるけれど)。
汽車がバスより高いとは(上郷から湯田まで、汽車賃十三銭、バスは十銭、このバスは安くて心地のよい道である、今日は満員つゞきで
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