た。
□病みてしみ/″\生を味ふ[#「病みてしみ/″\生を味ふ」に傍点]、死を観じつつ[#「死を観じつつ」に傍点]。
樹明君から饅頭を、私から酒を。――
食慾のないことはさびしいが、眠れることはうれしい。
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・しと/\しぐれる笹のさら/\
   宿直室にて
・電燈一つが長い廊下が冬
・年わすれの酒盃へ蝿もきてとまる
・ことしもをはりの宿直室でラヂオドラマが泣きだした
・年のをはりの風が出て木の葉ふきおとした
・きずがそのままあかぎれとなり冬籠る
・豆腐屋の笛が、郵便もくるころの落葉
・お正月の、投げざしの水仙ひらいた
   周二居
・むかへられてすはれば寒菊のしろさ
[#ここで字下げ終わり]

 十二月廿八日[#「十二月廿八日」に二重傍線] 雪もよひ、しぐれてしける。

不安なく不平なし、ひとりしんみり時雨を聴く。
てつかい味噌[#「てつかい味噌」に傍点]、有一君の心づくしを日々味ふことである。
※[#二重四角、250−2]友情に生きる[#「友情に生きる」に傍点]、それは私の生活をあらはす語句だ。
身辺整理。
お天気もよくないし、気分もすぐれないけれど、むりに郵便局へ出かけて手紙や葉書を投げ込む、そして謄写用紙を買ふ、重いのを我慢して、雨に濡れながら農学校まで辿り着いた、都合よく樹明君は宿直、夕飯をよばれてそのまゝ泊つた、さけ、さかな、めし、みんなうまかつた。
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   「ぐうたら手記」素材
□大根の煮たの[#「大根の煮たの」に傍点]、あの香、あの味、あの団欒、あの雰囲気!
□創作の苦楽――遊戯、表現、苦即楽。
□味噌汁と漬物と梅干。
□牡蠣と雲丹。
□五十才にして五十年の非を知る[#「五十才にして五十年の非を知る」に傍点]!
※[#二重四角、205−13]食慾があつて食物がないのと、食物はあるのに食慾がないのと、さてどちらがよいか、いづれを択ぶか!
□酒中酒尽[#「酒中酒尽」に傍点]――空の世界、有無超脱。
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非有、非無、非非有、非非無。……
[#ここで字下げ終わり]
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□このみちをゆく[#「このみちをゆく」に傍点]――このみちをゆくよりほかない私である(第四句集後記)。
[#ここで字下げ終わり]

 十二月廿九日[#「十二月廿九日」に二重傍線] さんざ降つて晴れ、いやな風がふく。

起きるとそのまゝ帰庵。
ありがたし、緑平老。
今日は敬治君来庵の日、樹明君も来庵の筈、で、魚買ひに豆腐買ひに街まで。
樹明君午後来庵、敬治君不来、二人で一杯やる、私が飲めないので気の毒だつた。
六日ぶりに、やつと冷飯がなくなつた。
夜は読書。
くづれつつある肉体[#「くづれつつある肉体」に傍点]をいたはる。
心! 心とは。――
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・ふと眼がさめて枯草の鳴るはしぐれてゐるか
・考へるともなく考へてゐたしぐれてゐた
 藪はしぐれる郵便受函が新らしい
 雨がぬくすぎる師走のかみなり
・山から夜風がごうときて窓をうつ年の暮
[#ここで字下げ終わり]

 十二月卅日[#「十二月卅日」に二重傍線] 晴、冬らしくて気持がよい。

朝は餅雑炊、めづらしくおいしくてたくさん食べた、ちと食べすぎたやうだ。
煤払、床の間、仏壇、机上、食卓をきれいにする。
昼食は饅頭三つ、香煎一杯。
山へ行つて、松と裏白とを採つてきて、松飾をこしらえる、うらじろ[#「うらじろ」に傍点]、しめかざり[#「しめかざり」に傍点]といふものはよろしいかな。
六日ぶりに御飯を炊く、二合、今明日中はこれで十分。
暮れる前に、やうやくにして敬治君来庵。
お土産は鶏肉と酒(砂糖までも気をつけてありがたい)。
豆腐は昨日の残りがあり、ほうれん草は畑からぬいてきて、何と御馳走が出来たことだ、――ゆつくり飲んだ、よい酒だつた、うまい酒だつた、近来にない楽しい会談だつた、来る筈の樹明君が来てくれなかつたのは惜しかつた。
九時過ぎて敬治君は帰つていつた、私はあたゝかい寝床にはいつた、ぬくさがとう/\雨となつた、この二三日来また、どうもよくねむれない。……

 十二月卅一日[#「十二月卅一日」に二重傍線] 雨。

昭和九年、一九三四年、私の五十三才の歳もいよ/\今日限りである。……
まことにおだやかな年の暮なるかな。
六時のサイレンと共に起きて、あれやこれやと一人の節季。
食慾がだん/\出てくるやうだ、うれしい。
Slowly and Steadily. 何事もこれでなければならない。
午前、樹明君来庵、餅と輪飾とを持つてきてくれる、一本つける、私は飲めないから、彼の飲みつぷりを観てゐるだけ、すまないと思ふ。……
病めば嗜好もかはつてくる、好きなものが嫌になつたり、
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