五日
 〃 廿六日
 〃 廿七日
 四月廿八日[#「四月廿八日」に二重傍線]



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大死一番 天地一枚

莫妄想

無常迅速
時不待人
光陰可惜
慎勿放逸

裁断前念後念

大事了畢
身心脱落
断命根
己平究明
大我爆発
三昧発得

天地同根 万物一体
   □
山はしづかにして性を養ひ、水は動いて情をなぐさむ
諸行無常、無常迅速、
諸法常示寂滅相、
眼前景致、口頭語。
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 四月廿九日[#「四月廿九日」に二重傍線]

四月廿九日、暮れて八時過ぎ、やうやく小郡に着いた、いろ/\の都合で時間がおくれたから、樹明君も出迎へてゐない、労[#「労」に「マヽ」の注記]れた足をひきずつて、弱いからだを歩かせて、庵に辿りついた、夜目にも雑草風景のすばらしさが見える。……
風鈴が鳴る、梟が啼く、やれ/\戻つた、戻つた、風は吹いてもさびしうない、一人でも気楽だ、身心がやつと落ちついた。
すぐ寝床をのべて寝た、ぐつすりとゆつくりと寝た!
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 ふるさとはすつかり葉桜のまぶしさ
・やつと戻つてきてうちの水音
・わらやしづくするうちにもどつて
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