三月廿六日[#「三月廿六日」に二重傍線]

歩いて兵庫へ、めいろ居へ。
神戸は国際都市であることに間違はなかつた。
ビルデイングにビルデイング、電車に自動車、東洋人に西洋人、ブルヂヨアにプロレタリヤ。……
めいろ居はめいろ君のやうに、めいろ君が営んでゐた、意外だつたのは、ピヤノのあつたこと。――
わざ/\出迎へて下さつたのに、出迎への甲斐がなくて、めいろ君にも詩外楼にもすまなかつた、それもかへつて悪くなかつたが。
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 ぽつかり島が、島も春風
 島はいたゞきまで菜ばたけ麦ばたけ
・ここが船長室で、シクラメンの赤いの白いの(三原丸)
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 四月十四日[#「四月十四日」に二重傍線] 坂下から清内路へ。

曇、やがて晴、そゞろ寒い、春がおそい今年で、さらに春がおそいこのあたりで。

 四月十五日 清内路から飯田町へ。

 四月十五日[#「四月十五日」に二重傍線] 蛙堂居。
 〃 十六日
 〃 十七日
 〃 十八日
 〃 十九日
 〃 廿日
 四月廿一日[#「四月廿一日」に二重傍線] 川島病院。
 〃 廿二日
 〃 廿三日
 〃 廿四日
 〃 廿
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