六月十六日
 六月十七日
 六月十八日

こん/\と寝た、寝る外ないのだ!

 六月十九日[#「六月十九日」に二重傍線]

……ヨリいけなくなつた、……シヨウチユウの誘惑、泥酔の醜態。……
放下着する外ないとすれば、行乞流転のくりかへしか、それとも自殺のハカナサか。……
衝動性変質者[#「衝動性変質者」に傍点]のみじめさ。
樹明君に謝し、同時に戒めます、あんたもあぶない!

 六月廿日

今日から断食[#「断食」に傍点]、いや、絶食[#「絶食」に傍点]。

 六月廿一日

夕方だしぬけに金井三郎さん来庵、対談一時間あまり。
お茶もあげなかつた、すまなかつた。
お土産として、日本魂[#「日本魂」に傍点]の二合罎[#「罎」に「マヽ」の注記]を戴く、胡瓜をもいできてさつそくに飲む、酒はうまいけれど、……あゝ。

 六月廿二日[#「六月廿二日」に二重傍線]

晴、身心やつと落ちつく、ちつとも睡らないで、四時には起きて身辺整理。
時計をマゲテ――マゲルほどの品ではないが――それで米を買ふ。
三日ぶりにオマンマにありついたのである。
米は安い、酒は高い。
先日来の自分を反省して悲憤やる方な
前へ 次へ
全94ページ中58ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
種田 山頭火 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング