ちらほら
・落葉ふんでは枯木をひらふあたゝかさ
・雀おどるや雲かげもなし
・ちようど酔のでたところが墓地で梅のさかり
[#ここで字下げ終わり]
二月十一日[#「二月十一日」に二重傍線]
旗日も祝日もあつたものぢやない、身心の憂欝[#「身心の憂欝」に傍点]やりどころなし、終日臥床、まるで生ける屍だ。
敬君やうやく帰宅、樹明君来庵、テル坊も(この称呼は樹明君にしたがふ)。
退一歩、そして進十歩、歩々新たなれ。
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・朝から小鳥はとべどもなけども
・かうしてこのまゝ死ぬることの、日がさしてきた
・壁にかげぼうしの寒いわたくしとして
・寒晴れ、誰もゐない火の燃えてゐる
・晴れてうつくしい草の葉の霜
・庵はこのまゝ萌えだした草にまかして
[#ここで字下げ終わり]
二月十二日[#「二月十二日」に二重傍線]
春日和です、私は終日終夜、寝床の中です。
酒も煙草もない一日一夜でした。
風呂はまことに結構でした、餅はたいへんおいしうございました。……
[#ここから2字下げ]
・夜のふかうして薬鑵たぎるなり
あの夜の梅が北朗作るところの壺(敬君に)
・いつも小鳥が、南天の実
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