其中日記
(四)
種田山頭火
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【テキスト中に現れる記号について】
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#ここから2字下げ]
/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)なか/\
*濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」
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其中一人として炎天 山頭火
[#ここで字下げ終わり]
七月十一日[#「七月十一日」に二重傍線]
天気明朗、心気も明朗である。
釣瓶縄をすげかへる、私自身が綯うた棕梠縄である、これで当分楽だ、それにしても水は尊い、井戸や清水に注連を張る人々の心を知れ。
百合を活ける、さんらんとしてかゞやいてゐる、野の百合のよそほひを見よ。
椹野川にそうて散歩した、月見草の花ざかりである、途上数句拾うた。
昼食のおかずは焼茄子、おいしかつた。
此頃は茄子、胡瓜、胡瓜、茄子と食べつゞけてゐる。
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・けさは逢へる日の障子あけはなつ(追加一句)
青田いちめんの長い汽車が通る
・炎天かくすところなく水のながれくる
・涼しい風が、腰かける石がある
・すずしうて蟹の子
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