うな、顔色がよくない。
午前中は山中漫歩、句と躑躅と土筆とを得た。
△貧乏はかまはないが、借金のない貧乏[#「借金のない貧乏」に傍点]でありたい。
人間山頭火[#「人間山頭火」に傍点]を観て下さい、俳人とか禅宗坊主とかいはないで。
また米がなくなつた、餅もなくなつた、私も空腹、仏様も、また鼠も!
△酒はいつもうまいが、春の酒よりも秋の酒。
なまけた一日、たべること第一。
ちしやが萎れて枯れるのは、搾取のためでなくて立枯病であることを教へられたので、まづ安心、さつそく灰を与へた。
△遊ぶ日の朝酒、働らいた日の晩酌。
自然を出来るだけ自然のまゝで味ふべし。
夕方、樹明君を通して敬治君から呼び出し、すぐ出かける、第一窟から宿直室へ、――酒、むきみ貝、樹、敬、山の三重奏、ぢやない、キミチヤンを加へて四重奏。
戻つて寝てゐたら、敬坊ひよろりと御入来、例の如くいつしよにごろ寝、まあ/\この程度の脱線ならよか/\。
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・鴉まつすぐに墓場まできてなく
伐られなければならない樹の影の水しづかにも
・ひなたの六地蔵どれも首がない
・によきによき土筆がなんぼうでもある
・つかれて街か
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