を私と、そしてオイチ薬売とが通るのは時代逆行的景観であつた、そして空腹へ焼酎一杯は私をほろ/\させるに十分だつた、何とまあ自動車の埃、まつたく貧乏人はみじめですね。
帰庵して冷飯を詰め込んだところへ、ひようぜんとして樹明来、そして私もひようぜんとして、いつしよにまたお釈迦様へ、おかげで人、人、埃、埃、その中をくぐつていつて、腰掛で飲む、一杯二杯三杯、十杯二十杯三十杯、――自動車で小郡駅へ、それから窟へ、おばさんのところへ、それでも庵へもどつて雑魚寝、少し金を費はせすぎて気の毒でもあり相済まなかつた。
今夜は窟で大にうたつた、樹明君も私も調子を合せて、隣室の若衆を沈黙さしたほどうたつた、身心がすうとした。
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・村はおまつり、家から家へ、若葉のくもり(行乞)
・蕗の葉のまんなかまさしく青蛙
・若葉、高圧線がはしる
・水底の月のたたへてゐる
 麦の穂、ごた/\店をならべて(釈迦市)
 やつぱり私は月がある路を私の寝床まで
  本日の行乞所得
白米 二升八合
現金 二十三銭
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 五月九日[#「五月九日」に二重傍線]

晴、酔うて労れて、いつもより
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