とはちがつて、よい散歩、よい飲振、よい別れ方だつた。
飲食過多、それはやつぱり貪る心[#「貪る心」に傍点]だ、戒々々。
[#ここから2字下げ]
・酔ひざめの、どこかに月がある
・月の落ちる方へあるく
・落ちてまだ月あかりの寝床へかへる
[#ここで字下げ終わり]

 五月二日[#「五月二日」に二重傍線]

曇、明るい雨となつた。
早朝、樹明来、ほがらか/\、素湯とわさび漬で、節食、どうやら過飲過食の重苦しさがなくなつた。
何だか泣きたいやうな気分になる、老いぼれセンチめ!
[#ここから2字下げ]
・柿若葉、あれはきつつきのめをと
・草をとりつつ何か考へつつ
・くもり、けふはわたしの草とりデー
・まこと雨ふる筍の伸びやう
・いつまでも話しつゞける地べたの春
・見るとなく見てをれば明るい雨
[#ここで字下げ終わり]
△すべての物品を酒[#「酒」に白三角傍点]に換算する私だつたのに、いつからとなく米[#「米」に白三角傍点]で換算するやうになつた、例へば、五十銭の品物は酒[#「酒」に白三角傍点]五合[#「合」に白三角傍点]だと考へてゐたのが、米[#「米」に白三角傍点]二升[#「升」に白三角傍点]
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