す
・白さは朝のひかりの御飯
・ぬれてしつとり朝の水くむ
・水にそうて水をふんで春の水
・春はゆく水音に風がさわいで
・春の水のあふれるままの草と魚
・晴れて旗日や機械も休んでゐる(追加)
・蕗の皮がようむげる少年の夢
[#ここで字下げ終わり]
誰かきた声がする、出て見ると、嘉川の万福寺の御開帳で、御案内旁御詠歌連中を連れて来ましたといふ、私は困つた、私には差上げる銭も米もないのだ、何もありませんが、といふと、それではまた、といつて帰つていつた、まことにお気の毒だつた、すみませんでした。
敬治君へ手紙を書く、――何よりも先づ金銭の浪費をやめなければなりません、現代の社会組織下に於ては、我々にとつて、金銭の浪費は生命の浪費[#「金銭の浪費は生命の浪費」に傍点]です、これを宗教的芸術表現でいへば、それは仏陀の慧命の浪費[#「仏陀の慧命の浪費」に傍点]です。……
純情は尊いけれど、それを裏付ける強い意志が伴はないならばたゞそれだけにとゞまる、……よい酒[#「よい酒」に傍点]とは昨日を忘れ、明日を思はず、今日一日をホントウに生かしきることが出来るやうに役立つ酒でなければなりません、……とにかく
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