けてゐる、どうもグウタラから抜けきれない。
味噌漬をかぢりながら湯ばかり飲んでゐる。
少しばかり三八九仕事。
△労働と遊戯[#「労働と遊戯」に傍点]について考へる、人生は「あそび」にまで持ち来されねばならないと思ふ。
夜、寝床にはいつてゐる私を敬治君が起した(私の第六感はやつぱり正しかつたのである)。
お土産の鑵詰を下物にしてお土産の酒を飲んだ、そして二人いつしよに寝た(さうする外ないのだが)、うれしかつた。
[#ここから2字下げ]
・林は朝のしづくしてゐる藪柑子
・ぬれて水くむ草の芽のなか
・石垣の日向のふきのとうひらいてゐる
とう/\寝られなかつた鼠の執着
[#ここで字下げ終わり]
三月廿六日[#「三月廿六日」に二重傍線]
日本の春、小鳥の声、人間の声。
朝酒はよいかな、敬君はまだこのよさを解しない(解すれば不幸だが!)。
飯の白さも四日ぶり、敬君ありがたう。
俊和尚からうれしい手紙。
二人で歩いて二人で入浴、何日ぶりの入浴か、髯を剃る。
樹明君を学校に訪ねる、校庭の何とかいふ桜はもう咲いてゐた。
魚を買ふ、酒を借る、樹明君が七面鳥の肉をどつさり持つて来る、春は三重奏の酒宴
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