した。
時々ワヤをやつてもかまはないけれど、後悔するやうなワヤはいけない。
三月廿四日[#「三月廿四日」に二重傍線]
晴、春風しゆう/\として天地のどかであつた。
朝は塩昆布茶。
或る場所に或る人間を訪ね、たゞ不快を与へられて戻つた、おかげで近来とかく怠りがちの自己省察[#「自己省察」に傍点]が十分に出来た。
非家庭的、非社会的、非国家的な私である、私は非人情的[#「非人情的」に傍点]に生きる外ない。
晩には、味噌汁をこしらへて吸ふた、おいしかつた。
△空腹と鼠とシヤモジ[#「空腹と鼠とシヤモジ」に傍点]――何とユーモラスな事実の題材!
これを書きあげるだけのユーモアが私にあるかどうか!
[#ここから2字下げ]
やうやく三句
・ゆんべの雨がたたへてゐる、春
・朝から小鳥が木の実たべにきてゐる雨あがり
・夜のふかうしてあついあついお茶がある
[#ここで字下げ終わり]
三月廿五日[#「三月廿五日」に二重傍線]
雨、春雨、終日独坐。
待つてゐる手紙は来ない、でも、柳は芽ぶいた、桜はふくらんだ、とつぶやいてゐる。
ナマケモノといふ動物を思ひ出さずにはゐられないほど、此頃はなま
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