線]
どうやら晴れるらしい。
さびしいかな、樹明君の酔態。
酒だけはあるから酒だけ飲む、飲めば酔ふからおもしろい。
ワヤに大小なし、高下なし。
ぐでん/\に酔つぱらつて戻つて、そして寝ましたよ。
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小鳥よ啼くなよ桜が散る
蠅がなく、それだけか
さくらまつさかりのひとりで寝てゐる
[#ここで字下げ終わり]
四月十六日[#「四月十六日」に二重傍線]
寝てゐる、夢と現実とがカクテール。
飲む酒はまだあるけれど、食べる飯は一粒もない。
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・いつもみんなで働らく声の花がちる
さくらちるさくらちるばかり
・伸びた草へ伸びた草で
・街へ春風の荷物がおもい
[#ここで字下げ終わり]
四月十七日[#「四月十七日」に二重傍線]
残つてゐた酒をあほつたら、ほろ/\になつた、ふら/\と出かけて樹明君から米代を借りた(といふよりも奪つた)。
△飯をたべたら身心が落ちついてきた、――私は今更のやうに、食べることについて考へさせられた、米の飯と日本人[#「米の飯と日本人」に傍点]!
しつかりしろ[#「しつかりしろ」に傍点]、と私は私によびかける、いや私をど
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