。
句集半切代入手、払うて買うて、すぐまた無一文。
酔へばいら/\する、酔はなければぢつとしてゐられない、といつて!
△酒のために苦楽のどん底をきはめることができたのである、尊い悪魔[#「尊い悪魔」に傍点]であつたよ、酒は!
今日の身心は雨と酒とでぐつしよりだつた、だがあまり悔いるほどではなかつた、悔いたところで詮もないけれど。
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・山に霧が、さびしがらせる霧が山に
追加一句
・日向ぽかぽかと歯がへやさんが歯がへしてゐる
[#ここで字下げ終わり]
四月九日[#「四月九日」に二重傍線]
まだ降つてゐる、書入れの日曜日が台なしになつて困つた人が多からう、まことに花時風雨多しである。
寝て暮らした、寝るより外になかつたから。
暮れてから、招かれて、樹明君を宿直室に訪ねる、気がすゝまなかつたのだが、そして遠慮してゐたのだが、逢へばやつぱり嬉しい。
ふくらうのさびしいうた! 百花春至為誰開!
△肉慾の奴隷[#「肉慾の奴隷」に傍点]に堕しつゝある自分を鞭つ。
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・月のはばかりへちつてきた木の葉いちまい
・なんとわるいみちのおぼろ月
・あれはう
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