ちの灯、ぬかるみをもどる
・しだれざくらがひつそりとお寺である
・釣瓶の水がこぼれるなつめの実(追加)
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四月十日[#「四月十日」に二重傍線]
曇、やうやくにして晴、そこらから花見のぞめきがきこえる。
悪筆を揮うて送る、この悪筆が米代になるとは!
知足安分の一日[#「知足安分の一日」に傍点]。
△私の好きな着物はドテラとユカタ、浴衣に褞袍をかさねた快さ。
すべてが、よりよくなる[#「よりよくなる」に傍点]ためのものでなければならない、今日は昨日より、明日は今日よりよりよい生活[#「よりよい生活」に傍点]でなければならない、さて、よい[#「よい」に傍点]とは何か、よりよい生活[#「よりよい生活」に傍点]とは何か。――
△木を見て林を見ない人間[#「木を見て林を見ない人間」に傍点]! さういふ人間であつてはならない。
よく読み、よく考へた一夜だつた。
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・やたらに咲いててふてふにてふてふ
便所の窓まで芽ぶいたか
・雑草にうづもれてひとつやのひとり
・雑草ばかりで花見の唄のきこえるところ
・花のよな木の芽ゆれつつ暮れる家
春の夜を落ちた
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