山へのぼつた、よかつた。
暮れてから、敬坊といつしよに湯屋へ、それからKへ、私だけ戻つた。
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敬君に
・菜の花を水仙に活けかへて待つ
敬坊をうたふ二句
費ひはたして日向ぼこしてゐる
酔ひしれた眼にもてふてふ
・伸びはうだいの南天の実の食べられてゐる
藪で赤いのは椿
・かすかに山が見える春の山
・寝ころべば昼月もある空
山のあなたは海といふほのかふくれてゐる
・花がひらいてゐて机の塵(酔後)
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四月三日[#「四月三日」に二重傍線]
くもり、花ぐもり、宿酔の気がある。
敬坊をKから連れて戻る、ちいちやんを借りて来る。
山のぼり会は雨となつたので、たゞの飲み会となつてしまつた、樹、敬、山、そしてちいちやんを加へて四重奏、其中庵はまさに春らんまんだつた。
それからがいけなかつた、いつしよに街へ出たのがいけなかつた、私だけは早く帰つたが、残つた二人はムチヤクチヤだつたといふ。
夜おそく敬治君が戻つてきた、さらにおそくなつて樹明君がやつてきた、ぼろ/\どろ/\だ、いつしよに寝る、私だけは早く起きてそこらを片附ける、さば/\した
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