仕事屑が捨ててあるそこら雪の下
やうやくたづねあてた家で牡丹の芽
・子供がねつしんに見てゐる機械がよう廻る
・あたたかさ野山にみち笹鳴うつる
・まつたく春風のまんなか
・身のまはりは草もそのまま咲いてゐる
・鳥かげのいりまじり草の青さも
・ちぎられた草の芽の霜
・干しものすぐ干せた木の芽草の芽
・音は朝から木の実をたべにきた鳥か
澄太さんに
わかれてからの韮の新芽のこんなに伸びた
敬治君に二句
けふはあんたがくるといふ菜の花を活けて
花菜活けてあんたを待つなんとうららかな
追加二句
・明けはなれて木の実うまからうつぐみの声
・いちにちだまつて小鳥の声のもろもろ
[#ここで字下げ終わり]
△念ずれば酒も仏なり、仏も酒なり。
樽見て酔ふ境地はうらやまし。
権兵衛が飲めば田伍作が酔ふやうになりたし。
四月二日[#「四月二日」に二重傍線]
けさも早かつた、そして寒かつた、うらゝかな春日。
敬坊は脱線したらしい、何となく気にかゝつてゐた、そこへさうらうとして彼がやつてきた、うれしいやうな、かなしいやうな、そしてさみしいやうな気持だつた。
樹明君もやつてきた、三人で
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