的小唄一つ
声をそろへて エンヤラヤ
力をあはせて エンヤラヤ
さてものどかな地つきかな
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四月一日[#「四月一日」に二重傍線]
起きたのは五時前、何と身も心ものびやかな弥生のあけぼの!
霜がふつてゐる、なか/\つめたい。
三八九の仕事、倦けると畑いぢり、ほうれんさうはおしまひになつた。
花菜を水仙に活けかへる、水仙のつめたき[#「き」に「マヽ」の注記]もよいが花菜のあたゝかさもよい。
蛙がなき蟻がはひ蝶々がまふ、雑草の花ざかり(まだ早いが)。
白木蓮が咲いてゐた、その花のうつくしさよりも、その花にまつはるおもひでがさびしかつた。
学校からの帰途、樹明君が立ち寄る、待つても待つても敬治君は来ない、二人とも少し憤慨して、二三杯やつて別れる。
敬治君はとう/\来なかつた、何か事故が突発したのだらう、とにかく無事であつてくれ。
人間は人形ぢやない[#「人間は人形ぢやない」に傍点]、――これは大切な事だ、人間は人形ぢやないから、人間は人形には解らない。
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・こぼれ菜の花や霜どけ
春霜の菜葉を摘んでおつけの実
お花をきれば春霜のしたたり
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