て三八九を発送した、やれまあ、何とはづかしい。
往復六里、歩いたが草臥れた、とても御飯では我慢しきれないでKで飲んだ、そしてそれから学校の宿直室へ、樹明君と一時間ばかり話して、戻つて寝た。
今日の小遣は。――
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一 金七銭 バツト 一
一、 五銭 古雑誌
一、十五銭 焼酎二杯
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これだけ、これだけ(Kの分は別、まづ一円位)。
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百舌鳥におこされて初雪
茶の花やけさの初雪の
・寒い身のまはりをかたづける
街は師走の、小猿も火鉢をもらつてる
あれは監獄といふ寒い塀
入日をまともに金借りて戻る河風
・月が、まんまるい月が冬空
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十二月十四日
三八九をだしてほつとしたのとアルコールのきゝめによつて、ぐつすりと寝た、たゞすこし胃の工合が悪い、十[#「十」に「マヽ」の注記]週間ぶりにちと飲みすぎたやうでもある。
曇り寒く雨となる、今日此頃はほんとうにようしぐれる、しかししぐれはわるくない、気分がおちついて物をしんみり味ふやうになる。
煙草が粉までなくなつた、火鉢をかきまはして灰の中からバツト
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