てはならない)、中耕、中耕、なるほどさうか!
昨日今日のよい気分が夜になつて少々いら/\してきた、早く寝床にはいる、とても寝つかれはしないけれど。
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・電燈から子蜘蛛がさがりれいろうと明ける
・朝はよいかな落ちた葉も落ちぬ葉も
とほくちかく稲こぐひゞきの牡丹咲いてゐる
・こんなところに茶の花がけさの雰囲気
・掃いてきて何とこれがらつきようの花
わたくしのほうれんさうが四つ葉になつた
あゝしてかうして草のうへで日向ぼこして
蠅が、秋蠅がもつれより
・病人を見送つて落葉する木まで
・恋のこうろぎが大きい腹をひきずつて(改)
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今日の所感二三追記する。――
茹でた章魚《タコ》を切りながら、章魚といふものをよく見て、もう章魚のうまさの半分を無くしてしまつた、それほど章魚は怪物だ、グロのグロだ、章魚を最初に食した人間はよほどの人間(賢愚によらず)であつたに違ひない、海鼠も怪物だが、彼には何処となく愛嬌がある、章魚を食べるに比べては、蚯蚓や蛞蝓や蜘蛛や百足位は何でもないのに、前者は賞美せられて、後者は見向きもされない、なるほど習慣といふものは恐
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