にすわり飯ばかりの飯
旅心
葦の穂風の行きたい方へ行く
身にちかく水のながれくる
どこからともなく雲が出て来て秋の雲
飯のうまさが青い青い空
ごろりと草に、ふんどしかわいた
をなごやは夜がまだ明けない葉柳並木
秋風、行きたい方へ行けるところまで
ビルとビルとのすきまから見えて山の青さよ
朝の雨の石をしめすほど
行旅病死者
霜しろくころりと死んでゐる
老ルンペンと共に
草をしいておべんたう分けて食べて右左
朝のひかりへ蒔いておいて旅立つ
ちよいと渡してもらふ早春のさざなみ
なんとうまさうなものばかりがシヨウヰンドウ
宇平居
石に水を、春の夜にする
福沢先生旧邸
その土蔵はそのままに青木の実
ひつそり蕗のとうここで休まう
人に逢はなくなりてより山のてふてふ
ふつとふるさとのことが山椒の芽
どこでも死ねるからだで春風
たたへて春の水としあふれる
水をへだててをとことをなごと話が尽きない
旅人わたしもしばしいつしよに貝掘らう
うらうら蝶は死んでゐる
さくらまんかいにして刑務所
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