庫の蔭で休んだ、着物をしぼったりお昼をたべたり、二時間ばかりは動けなかった。
どしゃぶり! まったくそうだった、そしてそれを吹きまくる烈風、雨が横さまに簾のようになってそそいだ、私は天からたたきつけられたように感じた[#「私は天からたたきつけられたように感じた」に傍点]、むしろ痛快[#「痛快」に傍点]だった。
暮れちかく宍喰町まで来たには来たが、また泊れない、ようやく甲ノ浦まで来て、ようやく泊めて貰うことが出来た、ありがたかった、よい宿でもあってうれしかった、同宿に気むつかしい病人がいていやだったが。
宿のおばさんがお祭の御馳走のお裾分だといって、お鮨を一皿おせったいして下さった、おいしかった、私も今夜は二杯傾けた。……
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野宿いろ/\
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波音おだやかな夢のふるさと
秋風こんやも星空のました
落葉しいて寝るよりほかない山のうつくしさ
生きの身のいのちかなしく月澄みわたる
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いつぞやの野宿を
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わがいのちをはるもよろし
大空を仰げば月の澄みわたるなり
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留置郵便はうれしいありが
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