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或る老人
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ひなたぢつとして生きぬいてきたといつたやうな
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十二月四日 曇。
早起入浴、読んだり書いたりする。
西へ東へ、或は南へ北へ、さようなら、ごきげんよう。
昼飯をたべてから歩いて――電車賃もないので――市庁のホールへ、そこで茂夫さんの市葬が営まれた、護国居士[#「護国居士」に傍点]、私はひたむきにぬかずく、歩いて五時帰宿、涙ぐましい一日だった。
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土と兵隊
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穂すすきひかるわれらはたたかふ
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十二月五日 好晴。
何となく身心不調、……何かなしにさびしい。
終日終夜黙々不動[#「終日終夜黙々不動」に傍点]。
きのうもきょうもアルコールなし。
省みて恥じ入る外なし[#「省みて恥じ入る外なし」に傍点]。
十二月六日 晴。
つめたい、霜がうっすら降っている(松山市内では初氷が張ったそうな)、冬も本格的になってきた。
頭痛、何もかも重苦しいように感じる。
朝食をすましてすぐ出かける、高橋さんの奥さんから少し借りる、局に藤岡さんを訪ねる、出張不在、一
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