人々を感心させた(と自惚れる)。
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今日の所得(銭弐十弐銭、米二升一合)
            米はどこでも二十銭替
今晩の御馳走(焼魚、茄子の煮たの)
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・かあかあと鳴いたゞけで山の鴉は
 あえぎのぼる並木にはひでりのほこり
・こんなに子供があつてはだかではいまはる
・笠へ落葉の秋が来た
・なんでもない道がつゞいて曼珠沙華
・うらは蓮田できたなくてきやすい宿
・旅の夜空がはつきりといなびかりする
・ほんとうによい雨が裏藪の明ける音
・今日の陽もかたむいたひよろ/\松の木
   追加
・まんぢゆさけさきわたしの寝床はある(帰庵)
[#ここで字下げ終わり]

 九月十四日[#「九月十四日」に二重傍線]

夜中に雨の音をきいた、朝空は曇つてゐるがなか/\降らない、宿の支度がおそくて出立もおくれた。
十時から一時まで高森町行乞、夕立がやつてきた。
二時から四時まで玖珂行乞、こゝでも夕立、よい夕立だつた。
心たいらか、行乞相も行乞所得も上上[#「上」に「マヽ」の注記]来、善哉、々々。
与へる人のいろ/\さま/″\が考へられる、三輪空寂は理想だ、せめ
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