・出来秋の四五軒だけのつく/\ぼうし
 かたまつて曼珠沙華のいよ/\赤く
・大地にすわるすゝきのひかり
・あほむけ寝れば天井がない宿で
・ころもやふんどしや水のながれるまゝに
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   或る友へのたより
昨日は雨中行乞をしましたが、やつと泊つて食べたゞけ、加茂鶴も亀齢も白牡丹もその煙突を観る[#「観る」に傍点]ばかりでした、今日は山もよかつたしお天気もよかつたし、行乞相も所得もよかつたし、三日ぶりに入浴もしたし、一杯やる余裕もあつたし、――まづこのあたりが山頭火相応の幸福でありませう!

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   三風居
・街のひゞきも見おろして母子《オヤコ》の水入らずで
   淡々居
・松に糸瓜も、生れてくる子を待つてをられる
   阿弥坊居
・カンナもをはりの、秋がきてゐる花一つ
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 十月二日[#「十月二日」に二重傍線]

 十一月一日[#「十一月一日」に二重傍線]

行乞のつかれと酒の酔とでぐつすり寝た。
眼覚めたらすぐ起きるのが私の癖だ、起きたのは四時頃か、そこらを片付ける、さつぱりする、気持がいゝな。
緑平
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