ら、いつ寝たやら、一切合切不明なり、しかも些の不都合なし、善哉々々。
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今日の所得(銭七十九銭、米二升一合)
今日の買物 一、五銭 キセル
      一、三銭 シヤモジ
      一、四銭 ハシ
      一、弐十四銭 サケ
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 八月十三日[#「八月十三日」に二重傍線]

からりと晴れてゐる、身心もさつぱりしてゐる、今日は昨日の分まで行乞しなければならない。
午前中深川町行乞、巡査がきていろんな事をたづねる、要領よく応対。
湯本へ出て、安宿で昼寝、それから湯町を行乞してゐるとまた巡査がやつてきた、何のかのとうるさい、近く澄宮殿下が萩市に行啓なさるので、彼等は神経過敏になつてゐるらしい、あんまりうるさいから峠を越えて於福まで歩き、朝日屋といふのへ泊つた、母子二人のしめやかさ、なか/\よい宿だつた、木賃二十五銭は安すぎる、気の毒な事には娘さんが病んでゐる、肺結核らしい、とても助かるまい。
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今日の行程は四里。
所得は銭八十一銭、米一升七合。
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 八月十四日[#「八月十四日」に二重傍線]


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