」に傍点]だとしみ/″\思ふ、裸木さんの貧乏だつたことを聞くにつけても。
蛙の子がやたらにそこらあたりを飛びまはつてゐる。
すつかり無くなつた、――米も薪も、無論、銭も! 明日はどうでもかうでも行乞しなければならない。
夕方、学校の宿直室に樹明君を訪ねて暫らく話した、十一銭のお辨当を頂戴した、庵ほど御馳走のないところはないから、何を食べてもうまい。
どうも飲みすぎる食べすぎる、禁酒絶食はとても出来ないが、せめて節酒節食したい、しなければならない。
いかなる場合でもいかなる事物でも、過ぎたるは及ばざるに如かず、好物に対して殊に然り。
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・あすのあさの水くんでおくかなかな
(追加)本妙寺
・昇る陽を吸うてゐる南無妙法蓮華経
・秋がきた朝風の土に播いてゐる
・めつきり秋めいた風が法衣のほころび
・何となく考へてゐる犬も私も草のうへ
・夕立つや思ひつめてゐる
・夕立が洗つていつた茄子をもぐ
・夕立晴れたトマト畑に出て食べる
・夕立晴るゝや夕焼くる草の葉
・藁屋根はしづくする雑草はれ/″\
[#ここで字下げ終わり]
八月廿三日[#「八月廿三日」に二重傍線]
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