日来庵した巡査が私を見つけて、訊き忘れた生年月日を訊いた、さすがに職掌柄、私をよく覚えてゐて、そして私を見つけだしたものだ。
△句に遊ぶ[#「句に遊ぶ」に傍点]、私は天地逍遙遊[#「天地逍遙遊」に傍点]の境地に入り込みつゝある、それがよい、それがほんとうだ、自然にして必然な道[#「自然にして必然な道」に傍点]だと思ふ。
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・ひろげて涼しい地図の、あちこち歩いた線
・はつきり見えて炎天の飛行機がまうへ
・こんなに出来てくれて青紫蘇や青唐辛
・つくつくぼうしあすから旅立つ私で
・糸瓜ぶらりと地べたへとゞいた
・かなかなのほそみちおりるはをとこにをなご
・雑草ふかくほうづきのうれてゐる夕風
・更けて戻れば風鈴は鳴つてゐる
よい月夜、月の夜の蛇にも咬まれたが(冬村君に)
・どこでも歩かう月がのぼる
・街はお祭提灯の、人のゆく方へゆく
・今が人も出さかりの、山をはなれた月
・月へ花火の星があがつた
朝空ふか/″\と雲のちぎれ/\
・法衣もすゝきもほうけて戻つた(追加)
[#ここで字下げ終わり]
八月八日[#「八月八日」に二重傍線]
有明月夜、秋吉――八代――仙崎方
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