ら追はれて雨のてふてふどこへゆく
・雨が洗つていつたトマトちぎつては食べ
・いつも見て通る夾竹桃のなんぼでも咲いて
・せつせと田草とる大きな睾丸
・けふも夕立てる花のうたれざま
・ぬれてなく蝉よもう晴れる
・向日葵や日ざかりの機械休ませてある(追加)
[#ここで字下げ終わり]

 七月廿六日[#「七月廿六日」に二重傍線]

昨夜はずゐぶん降つた、今日も時々降つた、これで水も十分だらう、草にも人にも喜色が見える。
天候も定らないし、法衣も乾かないので休養読書。
トマトを食べる、トマトのうまさがすこし解つたやうに思ふ。
何となく倦怠を覚える(そのくせ食慾はちつとも減じないどころか、ありすぎるほどある、五合の飯をペロリと平らげる)、入浴したら、だいぶ気持がすが/\しくなつた(湯銭が五厘不足とは笑はせる)。
向日葵が咲いてゐる、驕れる姿だ、どことなく成金臭があるけれど嫌いではない。
△酒と句[#「酒と句」に傍点]、この二つは私を今日まで生かしてくれたものである、若し酒がなかつたならば私はすでに自殺してしまつたであらう、そして若し句がなかつたならば、たとへ自殺しなかつても、私は痴呆となつてゐたで
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