昨夜も今夜も絹夜具、私にはもつたいないけれど、わざとだまつて寝させていたゞく。
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朝の山が朝の水に
・松が三本、国分寺跡といふ芋畑
水音の山門をくゞる水音
汐風つよくボートが塗りかへられる
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六月六日[#「六月六日」に二重傍線]
病院出勤の入雲洞君といつしよに出発。
風雨が強くなつて行乞どころぢやない、一杯機嫌で八幡へ急いだ。
星城子居に星城子君はゐなかつた。――
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さくらの木ばかりあんたはゐない
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幸雄さんを訪ねる、私の好きな青年俳人である、こゝでもまた父君母君が酒をすゝめられる。
同道して鏡子居を驚かす、鏡子君はオナゴヤの主人であるがおもしろい人である、酒、ビール、サイダー、蕎麦。……
同業者井上さんのところでまた御馳走になる、鯛のあらひは格別おいしかつた、こゝで星城子君にあへたのはうれしかつた。
鏡子、幸雄、星城子、私の四人連で、電車に乗つて支那料理屋へいつた、チヤンチユウ、サントウカとなつてしまつて、宿屋へ送りこまれた。
風、風、人、人、煙、煙――私には山村がよい、庵がよい
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