#ここで字下げ終わり]
これで二三日は死なゝいですみます!
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 山は青葉して招魂碑いよ/\白し
・水車ふむほどに太陽のぼるほどに
 空が人が田植はじまつてゐる
・なんできたかよ蛇のすずしい眼
 みんな留守で燕だけ
・兄がもげば妹がひらふさくらんぼ
    □
・なにかそこらで燃えてゐる音の夕凪
 ふくらうがよびかける声をきいてゐる
・青葉や青空や大きな胃袋を持つて歩く
・ひとりとなればひとりごと
・あれは竹の皮が落ちる夜の声
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 六月十八日[#「六月十八日」に二重傍線]

晴、めづらしく小鳥が来て啼く、しづかな明け暮れ。
休養読書。
枇杷の実がつぶらに色づいてきた、Jさんの子供たちが来てよろこんでうまさうに、もいではたべる、たべてはもぐ。
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・ほつかり朝月のある風景がから[#「から」に傍点]梅雨
 夕闇の筍ぽき/\ぬいていつたよ
   旧作再録
 ぢつとたんぽぽのちる
 やつぱり一人がよろしい雑草
 どうにもならない矛盾が炎天
 線路まつすぐヤレコノドツコイシヨ
 焼跡なにか咲いてゐる方へ
 埃まみれで芽ぶいたか
 
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