文字通りに足元から鳥が立つやうに、川棚をひきあげるのだ、さうするより外ないから。……
形勢急転、疳癪破裂、即時出立、――といつたやうな語句しか使へない。
其中庵遂に流産、しかしそれは川棚に於ける其中庵の流産だ、庵居の地は川棚に限らない、人間至るところ山あり水あり、どこにでもあるのだ[#「どこにでもあるのだ」に傍点]、私の其中庵は[#「私の其中庵は」に傍点]!
ヒトモジ一把一銭、うまかつた、憂欝を和げてくれた、それは流転の香味のやうでもあつたが。
精霊とんぼがとんでゐる、彼等はまことに秋のお使である。
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・いつも一人で赤とんぼ
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今夜もう一夜だけ滞在することにする、湯にも酒にも、また人にも(彼氏に彼女に)名残を惜しまうとするのであるか。……
八月廿七日 樹明居。
晴、残暑のきびしさ、退去のみじめさ。
百日の滞在が倦怠となつたゞけだ、生きることのむつかしさを今更のやうに教へられたゞけだ、世間といふものがどんなに意地悪いかを如実に見せつけられたゞけだつた、とにかく、事こゝに到つては万事休す、去る外ない。
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けふはおわか
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