たよ
    □
・水のながれの、ちつとも釣れない
 水草さいてゐるなかへ釣針《ハリ》をいれる
[#ここで字下げ終わり]

 九月十日

とう/\徹夜してしまつた、悪い癖だと思ふけれど、どうしてもやまない、おそらくは一生やまないだらう、ちようど飲酒癖のやうに。
こゝまで来たらもう仕方がない、行けるところまで行かう。
夜が明ける前の星はうつくしい、星はロマンチツクだ、星を眺めることを人間が忘れないかぎり、人生はうつくしい。
こほろぎがいろ/\の物をたべるには驚いた、胡瓜、茄子、さゝげ、大根、玉葱までたべてゐる、私のたべるものはこほろぎもたべる、彼等は私に対して一種の侵入者だつた!
過ぎたるは及ばざるに如かず――まつたくさうだ、朝もかしわ、昼もかしわ、晩もまたかしわだ、待人不来、我常独在、御馳走がありすぎた!
どうやらかうやらお天気らしい、風呂にいつて髯を剃り、財布をはたいて買物をした。
身辺に酒があると、私はどうも落ちつけない、その癖あまり飲みたくはないのに飲まずにはゐられないのである、旦浦で酒造をしてゐる時、或る酒好老人がいつたことを思ひだした、――ワシは燗徳に[#「徳に」に「マヽ」の
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