トマトがすがれてをり、そこにもこゝにもイチヂクが色づきつゝある。

 九月六日

三時になるのを待つて起きた、暫時読書、それから飯を炊き汁を温める。……
気分がすぐれない、すぐれない筈だ、眠れないのだから。
昨日は誰も訪ねて来ず、誰をも訪ねて行かなかつた、今朝は樹明さんが出勤途上ひよつこり立ち寄られた、其中庵造作の打合せのためである、いつもかはらぬ温顔温情ありがたし、ありがたし。
夕立、入浴、そして鮠釣、今日は十五尾の獲物があつた、さつそく焼いて焼酎を傾けた、考へてみれば、人間ほど無慈悲で得手勝手なものはない、更にまた考へてみれば、朝の水で泳ぎ遊んでゐた魚が、昼にはもう殺されて私の腹中におさまつてゐる、無常とも何ともいひやうがない。
小郡には蓮田が多い、経済的に利益があるためであらうか、その広い青葉をうつ雨の音は快いものだ。
肌寒くなつた、掛蒲団なくては眠れなくなつた、これ私[#「れ私」に「マヽ」の注記]のやうな貧乏な孤独人はキタヱられるのである。
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 晴れてよい日の種をまく土をまく
・子のないさみしさは今日も播いてゐる
・夕月に夕刊がきた
    □
・まがつた
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