よく雨の音を聴いた、いや雨を観じた[#「雨を観じた」に傍点]、春雨よりも秋雨にちかい感じだつた、しよう/\として降る、しかしさすがにどこかしめやかなところがある、もうさくら[#「さくら」に傍点](平仮名でかう書くのがふさはしい)が咲きつゝあるのに、この冷たさは困る。
雪中行乞で一皮だけ脱落したやうに、腹いたみで句境が一歩深入りしたやうに思ふ、自惚ではあるまいと信じる、先月来の句を推敲しながらかく感じないではゐられなかつた。
友の事がしきりに考へられる、S君、I君、R君、G君、H君、等、等、友としては得難い友ばかりである、肉縁は切つても切れないが、友情は水のやうに融けあふ、私は血よりも水を好いてゐる!
天井がないといふことは、予想以外に旅人をさびしがらせるものであつた。
今日は一つの発見をした、それは、私の腹いたみは冷酒が、いひかへれば酒屋の店頭でグツと呷るのが直接原因であることだつた。
今夜も寝つかれない、読んだり考へたりしてゐるうちに、とうとう一番鶏が鳴いた、あれを思ひ、これを考へる、行乞といふことについて一つの考察をまとめた。

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四月
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