むことが出来た、此新聞へは私は好感を持つてゐないけれど、それが熊本といふ観念を喚び起してなつかしかつた。
同宿は売卜師、日本を股にかけて歩きまはつてゐるだけに、また口で食つてるだけに、話題も豊富だし話方も上手だつた、八卦見! 何とクラシツクでそしてポピユラアだらう。
彼の話では、深切な巡査、情死娘と役所の小使爺、などが忘れられない。
彼もなまけもの[#「なまけもの」に傍点]だつた。
世間師は、あればあるやうに、なければないやうに、やつてゆくだけの技術を備へてゐる。
何といつても世の中で、高いのは酒、安いのは米。
今日は微苦笑寸劇にぶつかつた、――或る下駄店の前を戻るとき、安いのでぢつと見てゐると、店にゐた若いおかみさんが、さつそく御免とおつしやつた、違ひますよ、下駄を買はうかと思つてるんです、ずゐぶん気が早いですなといつてやつたら、赤い顔をして泣笑ひをした、――罪はないが快い出来事ぢやない。
夕食後、佐世保会館を訊ねて行く、若い店員に訊ねたら、頭の悪い男で、いふことがちつとも要領を得ない、そのために、だいぶ歩き損つた(気の毒だが、あの青年は落伍者にしかなりえまい)、会館は堂々たる建物だ
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