にも。
よい一日よい一夜だつた。
[#ここから1字下げ、折り返して6字下げ]
二月十二日[#「二月十二日」に二重傍線] けふも日本晴、まるで春、行程五里、海ぞひのうつくしい道だつた、加津佐町、太田屋(三〇・中)
[#ここで字下げ終わり]
此町は予想しない場所だつた、町としても風景としてもよい、海岸一帯、岩戸山、等、等。
途中、折々榕樹を見出した、また唐茄子の赤い実が眼についた。
△水月山円通寺跡、大智禅師墓碑、そしてキリシタン墓碑、コレジヨ(キリシタン学校)跡もある。
二月十三日[#「二月十三日」に二重傍線]
朝の二時間行乞、それから、あちらでたづね、こちらでたづねて、水月山円通寺跡の丘に登りついた、麦畑、桑畑、そこに六百年のタイムが流れたのだ、やうやくにして大智禅師の墓所を訊ねあてる、石を積みあげて瓦をしいて、堂か、小屋か、たゞの楠の一本がゆうぜんと立つてゐる、円通寺再興といふ岩戸山巌吼庵に詣でる、ナマクサ、ナマクサ、ナマクサマンダー。……
歩いてゐるうちにもう口ノ津だ、口ノ津は昔風の港町らしく、ちんまりとまとまつてゐる、ちよんびり行乞、朝日屋(三〇・中)、同宿は鮮人の櫛売
前へ
次へ
全150ページ中50ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
種田 山頭火 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング