ツマンだ。
故郷の言葉を、旅人として、聴いてゐるうちにいつとなく誘ひ入れられて、自分もまた故郷の言葉で話しこんでゐた。
油谷湾――此附近――は美しい風景だ、近く第一艦隊が入港碇泊するさうだ。
今日の昼食は豆腐屋で豆腐を食べた、若い主人公は熊本で失敗して来たといふ、そこで私独特の処世哲学を説いてあげた。
此宿の婆さんはしたゝかもの[#「したゝかもの」に傍点]らしい、また色気があるらしい、それだけ元気があり悪気がある。
どうも夢を見て困る、夢は煩悩の反影だ、夢の中でもまだ泣いたり腹立てたりしている。……

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五月廿二日[#「五月廿二日」に二重傍線] あぶないお天気だけれど休めない、行乞しつゝ四里は辛かつた、身心の衰弱を感じる、特牛《コツトイ》港、三国屋(三〇・中)
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此宿はおもしろい、遊廓(といつても四五軒に過ぎないが)の中にある、しかも巡査駐在所の前に。
山、山、山、青葉、青葉、青葉。
今日の行乞相はまづ及第、所得はあまりよくない。
棕櫚竹の※[#「てへん+主」、第3水準1−84−73]杖はうれしい、白船老はなつかしい。
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