財だ、うれしかつた。
終日、句稿整理、私にはまだ自選の自信がない、しかし句集だけは出さなければならない、句集が出せなければ、草庵を結ぶことが出来ないのである。
今夜の同宿は五人、その中に嫌な男がゐるので、私は彼等のグループから離れてゐた、彼は妙に高慢ちきで、人の揚足を取らう/\としてゐる、みんなが表面敬意を見せて内心では軽蔑してゐるのに気がつかないで、駄法螺を吹いて威張つてゐる、よく見る型の一種だが、私の最も好かない型である、彼にひきかへて、鍋釜蓋さんは愉快な男だ、いふ事する事が愛嬌たつぷりである、お遍路婆さんも面白い、元気で朗らかだ、遊芸夫婦(夫は尺八、妻は尼)にも好感が持てた、こゝで思ひついたのだが、出来合の旅人夫婦は、たいがい、女房の方がずつと年上だ、そして妻権がなか/\強い、彼は彼女の若い燕、いや鴉でもあらう。
夜は読書、鉄眼禅師法語はありがたい。

 四月十三日[#「四月十三日」に二重傍線] 晴、行程二里、前原町、東屋(二五・ [#「 」に「マヽ」の注記])

からりと晴れ、みんなそれ/″\の道へゆく、私は一路東へ、加布里、前原を五時間あまり行乞、純然たる肉体労働だ、泊銭、米
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