から)
・凩に焼かれる魚がうごいてゐる
捨てられた梅も咲いてゐる
枯れきつてでかい樹だ
・デパートのてつぺんの憂欝から下りる
・星晴れてのんびりと尿する
尿してゐるあちらはヂヤズか
[#ここで字下げ終わり]
こゝに重大問題[#「重大問題」に傍点]、いや/\重大記録[#「重大記録」に傍点]が残つてゐた、――それはかうである、――十三日は午後、三八九の趣意書を、どうしても刷りあげるつもりで出て、蔚山町の黎明社へいつた、そこは謄写刷の専門店だ、主人が留守で弟子が一人、その弟子を説きつけて刷りあげた、それを持つて、元寛君へ駈けつけて、そこで四方八方、といつても、面識のある、好意を持つてくれさうな俳友へ配つた、実は手帖を忘れて行つたので、そんな事柄をこま/″\と書きつけておいたのだが、……ともかく、私の生活の第一歩だけは、これできまつた訳だ、それを書き忘れてゐたのだから、私もだいぶ修行が積んだやうだ、三八九最初の、そして最大のナンセンスとでもいひたいもの如件。
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終電車重い響を残して帰つた
・星があつて男と女
・霙ふる、売らなきやならない花をならべる
・霙ふるポスト
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