が。
今日出来た句の中から、――
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はてもない旅の汗くさいこと
・このいたゞきに来て萩の花ざかり
山の水はあふれ/\て
・旅のすゝきのいつ穂にでたか
・投げ出した足へ蜻蛉とまらうとする
ありがたや熱い湯のあふるゝにまかせ
[#ここで字下げ終わり]
此地は県政上は宮崎に属してゐるが、地理的には鹿児島に近い、言葉の解り難いのには閉口する。
藷焼酎をひつかけたので、だいぶあぶなかつたが、やつと行き留めた、夜はぐつすり寝た、おかげで数日来の睡眠不足を取りかへした、南無観世音菩薩。
九月十八日[#「九月十八日」に二重傍線] 雨、飯野村、中島屋(三五・中)
濡れてこゝまで来た、午後はドシヤ降りで休む、それでも加久藤を行乞したので、今日の入費だけはいたゞいた。
此宿は二階がなく相客も多く、子供が騒ぎ立てるのでかなりうるさくてきたない、それにしても昨日の宿はほんとうによかつた、何もかも一切がよかつた、上の上だつた。
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・濡れてすゞしくはだしで歩く
・けふも旅のどこやらで虫がなく
ひとり住んで蔦を這はせる
身に触れて萩のこぼるゝよ
[#ここで字
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